たくましく、いざ実家を飛び出せ!
「響くん、一人暮らしでもして環境を変えてみたらどうだい?」
きっかけは、インターン先の社員さんの一言から始まった。
覚悟感、たくましさが足りないとの印象を持たれていた自分への、
アドバイスの言葉であった。
たくましさ不足の自覚があり、実家に関して少なからず問題を抱えていて、
何より想像したらわくわくが止まらなくなってしまった僕は、
すぐ家を出ることを決意した。
…お金がない。
シェアハウスならば安いのでは、と思って調べるも、意外に高い。
業者が仲介に入り、物件を貸し出しているのだ、考えてみれば高いのも当然だ。
「それならば、もう自分でやればいい。」
心の中の自分がそう言った。
僕は東大を休学して、周りより1年人生の寄り道をしているが、
同じく1年人生の寄り道をしており、
サークルでも長い深い付き合いがった純平に声をかけた。
当然、純平はルームシェアをする気など毛頭ない。
「もし響が外堀をもろもろ埋めてくれるなら、いいかなー」
言葉とは裏腹に、全く、その気がない。
僕が気付いていることを知った上で、彼はそう言っている様子だ。
しかし、なぜか僕には根拠のない自信があった。
こんな楽しいこと、絶対実現するに決まっている。
さて、どうしたものか。。
考えた結果、僕が出した結論はこれだった。
>>> "東大生2人と共に、3人でWebサービスを作りながらルームシェアしませんか!?"
▼こんな方を募集しています
プログラミングができて、開発を進めながら教えてくれる方
コミュニケーションがとれる方
>>>
WishScopeというマッチングサービスに書き込みをした。
純平は文系出身でIT企業への内定が決まっており、プログラミング学習の需要がある。
僕も、エンジニアへの理解を深め、
かつ自分で開発して簡単なものはすぐに形にできるようになりたい。
お互いの共通目的だ。
実際にものを作りながら、身近にできる人がいる環境を作れれば、最高ではないか。
書き込みへの返信を心待ちにしていると、早速何件か返信が来た。
「面白そうですね、頑張ってください」
「ルームシェアは考えていませんが、開発の話ならできます」
「自分も仲間を探しています。一緒には住めませんが、よければお話だけでも…」
やはり、何の開発スキルも持っていない学生二人(厳密には学生とフリーター)に
開発を教えつつ 一緒に住んでくれるという物好きも、なかなかいないものか。。
すると、そこに一件気になる返信が。
「プログラマやってます、manabuです。他にも候補は多いかと思いますが、
私なんかでよければぜひ一度お話を。 もちろんオタクです!!」
…!?
とにかく返信をして、一度会う話を進めると、
「…響さんにとっても、同棲相手を決めるという人生の一大イベント…(><//、
だと思うので…」
僕はそっと、WishScopeのサイトを閉じた。
manabuさん、ということは男性だ。
何か間違えがあってはいけない。
僕の身に付けたいたくましさは、そういうことではない。
しかし、その後もらった連絡があまりにも丁寧な文章であったこと、
他にめぼしい候補もいなかったことから、一度会ってみることにした。
候補と会うことで、純平の心も動いていくかもしれない。
そうして学さんと会って話をしたのだが、
気付いたときには「この人でしょ!」という感覚が自分の中にあった。
学さんと2回目に会ったときには、既に不動産屋で物件を探していた。
仲間を集めてルームシェアを始めたのは、
実家を出る決意をしてから実に1ヶ月ほどであった。
こうして、たくましさと開発スキルを身につけるべく、
実家を飛び出しルームシェアを始めたのである。
これからの生活を考えると、わくわくがおさまらない!