ルームシェア始めました。
「一緒にルームシェアしながらプログラミングの勉強をしよう」
響からそんな誘いを受けたとき、
私はまったく乗り気ではなかった。
私は4月に大学を卒業し、
訳あって一年遅れた就職活動を終えたばかりだった。
一年間のフリーター生活中に、語学留学に行ったり資格の勉強をしたり・・・
そのためには、実家にパラサイトしながらお金を貯めて・・・
確かに、文系出身でIT企業のSEに内定したので、
プログラミングの勉強は必要だ。
でもルームシェアなんかをしようものなら、
家賃も生活費も自分で出せと言われるだろう。
私は気のない返事ばかり繰り返し、
響の誘いをかわそうとしていた。
ある日、響からこんな連絡が来た。
「ルームシェア候補が見つかったから一緒に会おう」
突然にもほどがある。
もう一人のルームメイトは、ネットで公募したという。
公募用のページを見せてもらう。
>>>
"東大生2人と共に、3人でWebサービスを作りながらルームシェアしませんか!?"
▼こんな方を募集しています
プログラミングができて、開発を進めながら教えてくれる方
コミュニケーションがとれる方
>>>
こんな投稿をしていたとは初耳だった。
第一、私はもう東大生ではない。
第二に、まともにプログラミングができない2人に、
一緒に暮らしながらあれこれ教えてくれるもの好きな技術者がいるとは思えない。
私は巻き込まれていることを承知で、
この状況を面白がり始めていた。
そんなもの好きな人がいたら、
一緒に住んでみようかな。
そして何人か会ってみた候補の一人が、学さんだった。
ここまで会話の波長が合う人は他にいなかった。
学さんとの初めての対面から一週間で部屋探しを始め、
約1ヶ月後、4回目の対面が入居の日だった。
こうして、このルームシェアはトントン拍子に始まってしまった。
大きな不安と、少しのワクワク感とともに。
突然ですが、ルームシェア始めました。